絵に関わることは、たとえどんなに小さなことであっても仕事であり、やりがいだと思っています。10月15日、札幌の出版社・寿郎社より工藤志昇さんの初エッセイ集『利尻島から流れ流れて本屋になった』が刊行されました。工藤さんは三省堂書店札幌店で働く現役の書店員。書店員が本を出すというのは非常に珍しいことで、北海道の最北に浮かぶ利尻島出身というのも個性的です。それもあって、発売記念に三省堂書店では購入者に限定の利尻昆布のしおりをプレゼントするというユニークな企画をしています。ブックカバーの絵をメインに、本の中に使うカットなど合わせてイラストの依頼を当方が寿郎社から請けたのはまだ冬だったような。春が過ぎた頃くらいに出来た絵を収め、ついに先日それが本となって届きました。手に取ってあらためて感慨深いものがありました。画業と一口に言ってもそのジャンルは実にさまざま。「絵描き」と「イラストレーター」は「絵」というものを描くのは同じでも、スタイルはやや異なります。でも、当方はとにかくそれが「絵」であればこだわることなく、とにかく「いい絵を描きたい」。依頼者がどんな思いで依頼してきたのかを想像し、作った絵を喜んでもらえるよう思いを巡らせます。絵描きというのは世の仕事の中ではかなりニッチな分野の職業だと言えるでしょうが、そんな仕事でも誰かの何かのお役に立てるはず。そう信じて今日より明日、明日より明後日と、少しでも技術を上げられるよう努めてまいります。