例年よりもかなり雪が少なく、また解けるのも早い富良野です。もう畑の土も見えてきて。まだ2月だよ⁉早い春の訪れに、素直に喜ぶよりも、あんまり早すぎると、3月に荒れるんじゃないか、ドカ雪が降って結局つじつまが合っちゃうんじゃないかと、逆に心配になったりします。あさってからスイカの接ぎ木の仕事の声もかかり、いよいよ農作業シーズンが始まります。気候に関しては、できるだけ変化が少ない方がありがたく感じますね。寒い時には寒く、雪が降る時には降って。常に自然と対峙する農業においては、「平年通り」でないことが作業を難しくさせます。でも本当は、そこに順応して、乗り越えていくところにこそ、農家の腕と工夫の見せ所があるんだろうなぁ。
先日、札幌市厚別区野幌にある北海道博物館で開催中の、吉田初三郎の展覧会を見に札幌まで行ってきました。「鳥瞰図の初三郎」として知られる、全国各地の町々を創造力に溢れる技法で描いた彼の作品群に、大いに刺激を受けてきました。自分も「町」を描く人間として、彼のエッセンスを少しでも学びたくて。ネットも、もちろんAIも何もない時代に、精緻な町の絵をあんな風に描くなんて、まさに感動ものです。自分はコロナが始まった2019年からさっぽろ名所百景、さらにはふらの名所百景のシリーズに取り組み始めて、合間に奈良県の今井町四十一景と、この6~7年で気づけば380枚ほど描いてきました。それらの終了がだんだん見えてくる中で、ふと手が止まったんです。気持ちが止まったというか。それで、何か新しい刺激を受けたくなった時に、ちょうど初三郎の展覧会があったのでした。素晴らしかったなぁ。大作「北海道鳥瞰図」、画面隅々まで力が行き渡って、情熱と技術力が満ち溢れていました。見てみると、昭和11年完成、彼の52歳の作品でした。
先日久しぶりに外に絵を描きに行きました。初心を取り戻すため、一方で「外描きのリハビリ」として。しばらく名所図ばかりやっていたのもあって、感覚が以前とは異なっていました。6,7年間スタイル変更をしていたのはそれなりに長かった。で、スタイルを元に戻すべきか、さて新しい方向に行くべきか、模索の中に。新しい技術も身に付いたように思うし、経験も増えたけど、同時に年も重ねて。このままでいいのかどうかと。自分の昔描いた絵や、尊敬する安野光雅先生の画集なども見返したりもして。初三郎にしても安野先生にしても、キャリアの中で一層よい仕事をされたのは50代になってからだと知ると、立ち止まっている場合ではないぞと、気持ちが新たになった感じがします。
かつて世界を放浪していた際に持っていた旅のガイドブックを開いたりして、しばらく行っていなかった海外の町にも思いを馳せました。何かが変わりそうだ。ここから何を見出すか、どんな物語を追いかけることになるか。楽しみになってきたぞ。もちろん、絵を描く手は止めることありません。大事なのは、日頃の「素振り」。いつバッターボックスに呼ばれてもいいように、基礎練習を欠かさずに。そして、その「何か」が見つかった時にすぐスタートが切れるよう、チャンスのしっぽをしっかりつかめるよう、準備をして春を迎えようと思います。
