先日、「地域の職業人から学ぼう@富良野高校」という特別授業で、高校生たちに絵描きの仕事について紹介してきましたが、実は富良野高校では毎週美術科非常勤講師として登壇し、授業をしています。着任したのは2018年、今年で5年目になります。いつも思いますが、美術を「教える」のは難しいですね。技術を教えればいい絵が描けるというものではないし、技術自体は高くなくてもいい絵というのはたくさんあります(そもそも自分自身が独学なので生徒に教えるほど大した技術も持ち合わせていない…)。大切なことは、美術(絵を描いたり物を作ったり、作品を鑑賞すること)を「楽しい!」と思ってもらうことで、その気持ちがあれば自然と美術に接し、また制作に近づくように思います。授業では、「うまい絵」を描かなくてもいいから「いい絵」を描こう、ということをよく言います。それもまた難しい表現かも知れませんが、自分としては、技術に偏向しすぎず、個性が生きた絵により価値を見出します(自分自身がそうだからなのだと思います)。なので、かなり自由な雰囲気の中で授業を行っています。とは言え、技術をまったく教えないわけにもいきませんから、多少のことは教えます。自分が身につけたのは、勤めていた会社を辞めて絵描きとして駆け出した23、4歳の頃、あまりの自分の画力のなさに愕然とし、通うことにした東京・三鷹にある絵画教室「アトリエ・フラン」。「絵描きになる」と宣言し、後には引けなくなった当時の自分は、芸大・美大に受験する学生に交じってそこで必死にデッサンしました。その時のことが今、教える立場で役に立つことになるのだから人生は不思議なものです。まさか自分が高校の美術の教壇に立つことも想像も付かなかったわけですが、彼らに教えることでこちらが学ぶことは数知れず。彼らに語りながら、自分も「美術を好きでいよう」、「いい絵を描こう」と思いを新たにする今日この頃です(ちなみに、美術科の非常勤講師ではありますが、中学・高校の国語科の教職免許を持っています)。